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『みかえり阿弥陀さま』

2012年 10月 24日

くだんの美女とBUDAPESTで、
来日したらご案内しますとお約束したのは、京都の永観堂です。


そろそろ11月にかけて紅葉の美しい季節ですね。

何年か前にPARISの親友宅に宿泊したとき、
時差で目が冴えていた私が本棚から選んだ一冊。
仏像にまつわる本でした。

帰国した私は、すぐに京都の永観堂の「みかえり阿弥陀」に
会いにいきました。
この阿弥陀さまのお話とは、お坊さんの永観さん、東大寺の蔵から、
長い間真っ暗な蔵の片隅で眠っていた「阿弥陀さまをもったいない」と
自分のお寺まで、おんぶして連れて帰ったそうです。

東大寺から追っ手が来て、阿弥陀様を背中からはずそうにも
どうにもこうにも張り付いてはずせなかったということです。

そんな永観さん、真冬、激寒の荒行、お経を唱えて一晩中歩いていた時、
ふっと前を見ると阿弥陀様が歩いていて振り返り、
一言「これ!永観遅いがな」と声をかけたそうです。
そして、その本の問いかけ。なかなかいいのです。
『あなたには振り返ってくれる人がいますか?』、
いまも鮮明に記憶に残っています。

そして、実際の阿弥陀様の横にはこんな文字が書いてありました。
その冬、このお寺、修復工事で、実は私が天井に上がっていた職人さんに
「恐れ入りますが・・」とお願いし、鉛筆をお借りして写したものです。

その後、永観堂へは何度も足を運びましたが、修復中だった御寺の
『みかえり阿弥陀さま』の存在が私の中に生きています。
写真はおみやげ屋さんで買ったものです。↓


みかえり阿弥陀

みな人をわたさんと思う心こそ極楽にゆくしるべなりけれ(永観律師)

「自分より遅れるものを待つ姿勢

自分自身の位置をかえりみる姿勢

愛や情けをかける姿勢

思いやり深くみつめる姿勢

衆生とともに正しく前に進むためのリーダーの把握の振り向き、
真正面からおびただしい人々の心を濃く受けとっても
なお正面にまわれないひとのことを案じて横をみかえらずにはいられない
阿弥陀仏のみ心」

 

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